親の空き家を相続して、どう活用するか悩む方は多いでしょう。中でも「売却」という選択肢を検討する際、まず重要になるのが「査定」です。今回は、空き家売却の際に役立つ「机上査定」と「訪問査定」の違いを中心に、どのように使い分けるべきかを具体的に解説します。
机上査定とは?その特徴と活用シーン
机上査定、別名簡易査定とは、不動産会社が実際に物件を訪問せず、公開されているデータや物件の基本情報をもとに行う査定方法です。公示地価や路線価といった地域情報、過去の成約事例や市場データ、そして提供された間取り図や土地の広さといった情報が主に参考にされます。
机上査定の最大の利点は、短期間で結果が得られることです。最短で1日、遅くとも数日以内に査定額が提示されるため、時間に余裕がない場合や売却の検討を始めたばかりの段階に適しています。例えば、親から相続した空き家を売却するかどうか検討中のAさんは、机上査定を複数の不動産会社に依頼しました。1週間以内に各社から結果が届き、平均的な価格帯を把握することができました。
ただし、机上査定はあくまで概算であり、実際の売却価格が大きく異なる場合もあります。物件の老朽化や周辺環境といった現地でしか確認できない要素が、最終的な査定額に影響を与えるためです。
訪問査定とは?詳細な評価で安心の価格設定
一方で、訪問査定は不動産会社の担当者が直接物件を訪れ、現地で調査を行った上で査定額を提示する方法です。机上査定では分からない建物の老朽化具合や管理状態、周辺環境、さらに境界線や土地の利用制限といった法的な要素まで考慮されるため、より正確な価格を知ることができます。
訪問査定の具体例として、親が所有していた空き家の査定を依頼したBさんの場合を挙げます。机上査定で「約1,000万円」と言われていた物件が、訪問査定によって建物の一部が修繕されていることや、土地の利用可能性が高いと判断された結果、「1,200万円」の査定額が提示されました。このように、訪問査定は詳細な評価が可能であり、実際に売却を進める際には欠かせないステップと言えるでしょう。
ただし、訪問査定には担当者が現地を訪れる手間がかかり、結果が出るまでに数日から1週間ほど要する場合があります。また、査定後に売却を断ることも可能ですが、信頼できる不動産会社を選ぶことで不要な勧誘を回避できます。
机上査定と訪問査定の違いを整理
机上査定と訪問査定、それぞれの違いを以下の表にまとめてみました
項目 | 机上査定 | 訪問査定 |
---|---|---|
実施方法 | 書類やデータのみを使用 | 現地訪問+詳細調査 |
査定結果の精度 | 概算価格 | 正確な価格 |
所要時間 | 数日以内 | 数日~1週間 |
費用 | 無料(多くの場合) | 無料(多くの場合) |
主な用途 | 初期段階の価格感覚を掴む | 実際の売却価格を決める |
実際の売却プロセスにおけるポイント
査定方法を上手に使い分けることで、売却をスムーズに進めることができます。まずは複数の不動産会社に机上査定を依頼し、相場価格を把握することから始めてみましょう。その結果をもとに信頼できる会社を選び、訪問査定を依頼することで、物件の正確な価値を知ることができます。最終的には訪問査定の結果を参考にしながら、売却活動を計画的に進めていきましょう。
まとめ
空き家を売却する際に重要なのは、机上査定と訪問査定を目的に応じて使い分けることです。机上査定は迅速に概算価格を知るのに適しており、訪問査定は正確な価格を把握するために不可欠です。初期段階では机上査定で価格の目安を掴み、信頼できる不動産会社を見極めた上で訪問査定を依頼しましょう。このように査定方法を上手に活用することで、空き家売却をスムーズに進めることが可能です。