親の遺産として空き家を引き継いだものの、「どう処分すればいいのか」「売却時にどのくらい費用がかかるのか」と悩んでいる方も少なくありません。特に、物件価格が低い空き家を売却する際には、手続きの煩雑さや費用負担が問題となることがあります。しかし、一定の条件を満たせば、仲介手数料を抑えられる特例が用意されています。本記事では、この特例の概要や条件について詳しく解説していきます。
仲介手数料とは?基本的な計算方法
不動産の売却時に発生する仲介手数料は、不動産会社への報酬として法律で上限が定められています。手数料の額は、物件の売却価格に応じて計算されます。具体的には、売却価格が200万円以下の場合は価格の5%、200万円を超え400万円以下の場合は200万円分に5%を掛けた額に、超過分の4%を加えた金額となります。さらに400万円を超える部分については価格の3%が加算される形です。通常はこの計算方法に基づいて手数料が算出されますが、価格が低い物件の場合には特別な条件で手数料が低減されるケースがあります。
特例の対象となる物件とは?
売却価格が800万円以下の空き家に対しては、仲介手数料が通常よりも低額に設定される特例があります。この制度により、売主や買主の経済的な負担が軽減されます。例えば、売却価格が300万円の空き家を考えると、通常の計算では仲介手数料が14万円程度になるところ、特例が適用されれば10万円程度に抑えられる可能性があります。こうした特例は、価格が低い物件を売却する際に非常に役立つ制度です。
特例が適用される条件と注意点
特例を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、対象となるのは売却価格が800万円以下の物件です。この価格を超える場合は通常の手数料計算が適用されます。また、特例が適用されるためには、売買契約や取引内容が比較的単純である必要があります。権利関係が複雑な物件や借地権付きの空き家などは、特例の対象外となる可能性があります。
さらに、不動産会社への相談は欠かせません。特例が適用されるかどうかの確認や、手数料の見積もりを依頼することで、事前に費用を把握しておくことが重要です。不動産会社によって特例の扱いが異なる場合もあるため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
実際の事例:特例を利用して売却費用を抑えたケース
ある地方に住むAさんは、親から相続した築古の空き家を売却しました。物件の売却価格は400万円程度と見積もられていましたが、特例を適用することで通常12万円程度になるはずだった仲介手数料を10万円に抑えることができました。この結果、売却にかかる総費用を軽減し、スムーズに手続きを進めることができました。
また、別の事例ではBさんが相続した空き家の売却価格が300万円であったにもかかわらず、特例により14万円の手数料が10万円に減額されました。これにより、当初予定していた予算を超えることなく売却を完了させることができたのです。
まとめ
物件価格が800万円以下の空き家を売却する際には、仲介手数料の特例を利用することで費用負担を大きく軽減できる可能性があります。この特例は、手続きが比較的シンプルな物件に適用されるもので、法律で定められた上限よりも低い手数料を実現できる制度です。ただし、適用には不動産会社との事前確認が必要です。特例を最大限に活用するためには、複数の不動産会社に相談し、自分に合った取引先を見つけることが成功の鍵となります。この情報を活用して、空き家の売却手続きを前向きに進めてみてはいかがでしょうか。